アオリイカがアジを抱いて走り、リールのドラグ音が鳴り止んだ瞬間――。「よし、止まった!すぐにヤエンを投入だ!」と焦ってヤエンを送り込んでいませんか?
実は、**走りが止まった直後の投入は、ヤエン釣りで最もバラシを量産する典型的なNG行動**です。
イカが止まった直後は、まだ針が掛かりにくい「ある状態」のままアジを齧っています。ここで無理にヤエンを入れても、フッキングしなかったり、エンペラ(耳)の薄い皮一枚に掛かって身切れして逃げられるのがオチです。
確実にアオリイカを仕留めるためには、ヤエンを入れる前にイカをこちらの手のひらの上でコントロールする**「寄せ(調教)」のプロセス**が不可欠になります。
今回は、私が現場で確実なキャッチ率を叩き出している「イカの抱き方の変化(横抱きから一直線へ)」をはじめ、根回りをかわす「寄せのタイミング」、そしてイカに違和感を与えず足元まで従わせる「ドラグ&ロッドワークの極意」を徹底解説します!
1. なぜ即投入はダメなのか?「横抱き」から「一直線」への捕食プロセス
アオリイカが走りを止めたとき、海中ではまだヤエンが掛かりにくい状態が続いています。イカの捕食姿勢の変化を理解しましょう。
⚠️ 走りが止まった直後:横抱き

イカはアジの延髄を齧りながら、アジを自分の体に対して「横(直角)」に抱いています。この状態のときにヤエンが到達しても、イカの体まで針が届きにくく、非常に掛かりが悪くなります。
◎ 最高の投入タイミング:一直線

イカがアジの頭部を切り落とし、胴体を正面から本格的に食べ始めると、ライン・アジ・イカが綺麗な「一直線」になります。この姿勢になれば、滑ってきたヤエンの掛け針がイカの腹側(下側)へ確実に入り込み、フッキング率が跳ね上がります。
この「一直線」の姿勢を作らせ、さらにヤエンを確実に送り込める位置までイカを誘導するのが「寄せの操作」です。
2. 釣り場の環境で変える!「寄せ」に入るまでのカウントダウン
イカの走りが止まってから、どれくらい待って寄せのアクションを起こすべきか。これは、その釣り場の「藻やシモリ(障害物)の多さ」によって使い分けます。
- 藻や根が少ないオープンエリアの場合:約1分待つ
イカが途中で根に化ける(化石になる)心配がない場所であれば、走りが止まってからじっくり1分ほどそのまま待ちます。イカがアジの頭を落として夢中で食べ始め、警戒心が完全に薄れたのを確認してから、ゆっくりと寄せに入ります。 - 藻が生い茂る一等地(シャローエリアなど)の場合:走りとまってすぐに仕掛ける
アオリイカが大好きな藻場周辺では、長時間の放置は命取りになります。イカが潜り込んでラインが藻に絡まるとその時点で終了となるため、走りが止まったらすぐに寄せのアクションを起こし、**イカを海の中層へ強制的に浮かせる操作**を行います。
3. 【極意】20秒かけて引く!アオリイカを無力化する「調教」の手順
寄せの操作において最も大切なのは、**「アオリイカに引っ張られていると気付かせないほど、ゆっくり丁寧に竿を動かす」**ことです。ここで慌てて竿を早く動かしたり、穂先に鋭いテンションを掛けると、イカは危険を察知してアジを放してしまいます。
具体的なロッドワークの手順


- 自分の体を軸にして、竿を「右斜め前」または「左斜め前」に構えます。このとき、海面に対するラインの角度を立ち上げすぎない(鋭角にしすぎない)ように寝かせ気味にするのがコツです。
- そこから**「ゆっくり、ゆっくり」と、約20秒もの時間をかけて**、竿を真後ろ(右後方または左後方)へと水平に近い軌道で引いていきます。手元にはズッシリとしたイカの重みを感じるはずです。
- 限界まで引ききったら、リールでラインを巻き取りながら、竿の角度を元の斜め前の位置に優しく戻します。
- この**「20秒かけて引く→素早く巻きながら戻す」という動作を2〜3回繰り返します。**
※藻が非常に多い釣り場では、ラインの弛みが根掛かりに直結します。そのため、竿を左右に寝かせて引くのではなく、**「竿を上下(縦方向)に操作」**して常にラインテンションを張り気味にし、イカを一気に中層へ浮かせにかかります。
🔥 現場主義のワンポイント:イカの「調教」が合否を分ける
寄せの最中、イカが違和感を覚えて「ギューン!」と逆噴射して抵抗することがあります。その時は絶対に力勝負をせず、テンションを緩め、かつ、ラインを出して走らせてあげましょう。
2〜3回この寄せの操作を繰り返すと、不思議なことにイカは抵抗をやめ、こちらが引く力に逆らわずにスルスルと寄ってくるようになります。これを**「イカの調教」**と呼んでいます。
この調教が不十分なまま(まだイカが怒っている状態)でヤエンを投入してしまうと、アオリイカがヤエンが近づいた瞬間に驚いてアジを放す原因になります。しっかりと調教することが大切です。
4. トラブルを防ぐリールの設定と「指スプール」の高等技術
寄せの最中、リールのドラグ設定はどうすべきか。リアドラグ式リールを使っている場合、基本はアタリを待つ時と同じで「ほぼフリー」に近い状態のまま行います。
完全なスカスカのフリー状態だと、イカが急噴射した際に勢いよくスプールが回りすぎてバックラッシュ(糸絡みトラブル)を起こすため、**「ラインが引き出される時に、ほんのわずかに抵抗がかかる程度」**にドラグを締めておきます。
(※レバーブレーキ式リールを使用している方は、イカが走ったらレバーを開放して指一本でスルスルと出すだけなので非常に楽です)
リアドラグ式での必須テク「指スプール」

リアドラグ式リールで寄せを行う際、私は**竿を持っている手の人差し指(または中指)を、リールのスプールエッジにそっと添えています。**
指で軽くスプールを押さえることで、ゆっくり引く時はラインが滑り出さないようにブレーキをかけ、イカが「ギューン!」と突進した瞬間にパッと指を離します。これにより、ドラグノブをカチカチ触ることなく、マニュアル感覚で瞬時にラインをフリーにでき、寄せ操作中のバラシをほぼ完璧に防ぐことができます。
ロッドの性能差が一番出るのはこの「寄せ」の瞬間!
この繊細な寄せの操作において、やはり威力を発揮するのが「ヤエン専用竿」です。磯竿などでも代用できますが、専用ロッドは極軟の穂先と、イカの引きにしなやかに追従する独特の胴の粘りを持っています。驚くほどイカに違和感を与えないため、少し強引に寄せて中層に浮かせることができます。
5. さらにヤエンの世界を深めたい人へ!おすすめのバイブル
この「寄せ」や「ヤエン投入」の技術をさらに動画やテキストで立体的に勉強したい方のために、私が実際にボロボロになるまで観て、読んで勉強した非常にクオリティの高いメディアをご紹介します。かなり古いメディアですが、とても参考になるものです。
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書籍:アオリイカ釣りはじめのヤエン塾DAIWAのフィールドスタッフであり、ヤエン界の重鎮・岡啓太郎プロが考案した「三日月釣法」などが網羅されているヤエンバイブルです。内容が非常に濃く、初心者からステップアップしたい中級者にも分かりやすい丁寧な解説が詰まっています。 |
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映像作品:HOW TO ヤエン(DVD)価格もお手頃ながら、約90分にわたり実演映像が収録されているおすすめのDVDです。本や文字だけでは掴みにくい「実際の竿を引くスピード感」や「ロッドのしならせ方」が動画で一発で理解できます。レバーブレーキリール(ダイワ バトルゲーム2000LBQDなど)の扱い方の基本についても触れられており、復習用としても手元に置いておく価値のある一本です。 |
十分にイカを中層に浮かせて「調教」が完了したら、いよいよヤエンの投入です。次のセクションでは、ヤエンを確実に滑らせてフッキングに持ち込む、最後のクライマックス手順を解説します!







