これまでのプロセスでアオリイカをしっかりと中層に浮かせて「調教」したら、いよいよ**「ヤエンの投入」**です!
ここからは、あなたの投入したヤエンが海中のアオリイカの元へと滑り降りていく、最も緊張感が高まる場面となります。

「暗闇の中で一人でヤエンをラインにセットするのが難しい……」
「ヤエンを投入したけれど、今どこまで進んでいるのか、イカに届いているのか全く分からない……」

そんな悩みを抱えるヤエン初心者はとても多いです。
ヤエンをスムーズに投入し、イカにバレずに到達させるためには、**現場でのロッド捌きや、昼夜の警戒心の違いに応じた「ラインの角度調整」**にコツがあります。
さらに、目視できない海中での「ヤエンの到達」を見抜く、穂先のシグナルが存在します。

今回は、私が実践しているヤエンの投入手順をはじめ、イカを驚かせないヤエンの送り込み方、そして「本当にヤエンが届いたか」を見極めるためのティップ(穂先)の確認方法を解説します!


1. 【単独釣行も安心】手際よくヤエンをラインに装着する手順

ヤエンの投入に慣れないうちは、一緒に来た仲間にロッドの穂先を近くに寄せてもらい、ヤエンをラインに付けてもらうと、とても簡単です。
しかし、単独釣行では、すべて一人でこなさなければなりません。私が釣り場で行っている、風が吹いても慌てない装着ルーティンがこちらです。

一人でヤエンをセットするルーティン

  1. リールのベールを起こす: イカに余計なテンションを掛けないよう、まずはラインをいつでも出せる状態にします。
  2. 竿先を自分の「後方」へ回す: ロッドを後ろへ引き、空いた方の手で穂先から伸びているメインラインを掴みます。
  3. 【強風時の裏技】風上から竿を回す: 風が強い釣り場では、**「風が吹いてくる方向(風上)」から円を描くように竿を後ろへ回す**と、風に煽られたラインが自然と手元に近寄ってくるため、驚くほど簡単にラインをキャッチできます。
  4. ロッドを脇にガッチリ抱える: ラインを掴んだら、竿を脇に挟んで(片方の腕で抱える)、両手を完全にフリーにします。
  5. 少し緩めのテンションでヤエンを装着: イカに違和感を与えないようラインは張らず、少し緩め(ただし穂先に糸が絡まない程度)の張り気味のラインにして、ヤエンの各支点へ手早くラインを通していきます。

🏠 自宅での練習が本番の焦りを無くす
ヤエンにラインを素早く通す練習は、自宅の庭でも簡単にできます。現場の暗闇や時合いの焦りの中でドタバタしないために、釣行前に一度、自宅でラインを使って通す感覚を練習しておくことと良いです。


2. 【ライントラブル防止】海への投入と着水後のラインメンディング

ラインをすべての支点に通し終えたら、ヤエンが糸と絡んでおらず、スムーズに前進できる状態であることを目視で確認します。問題がなければ、緩めていたラインをリールで少し巻き取って(ラインを軽く張る)、ゆっくりと竿先を高く立てます。

ヤエンを滑らせる瞬間の絶対ルール

ヤエンを手から離して海へ滑り出させるときは、**「ラインは手に持ったまま、ヤエンだけを手から離して投入する」**のが鉄則です。
もしラインとヤエンを同時にバッと離してしまうと、空中でラインがヤエンの針などに絡みつき、途中で滑り降りなくなってしまいます。ラインを指でホールドしたまま、ヤエン本体だけを優しくリリースして、ヤエンが着水しするのを待ちます(5秒位です)。

着水直後:海底への「根掛かり」を防ぐ

ヤエンがポチャンと海面に着水した瞬間に、すぐに持っていたラインを手から放し、リールを巻いてラインを「張り」ます。
ここでラインを張らず、「あとは勝手に落ちていくだろう」と糸フケをダブダブに放置してしまうと、ヤエンはアジの方へ進まずに、その場から海底へと沈んでいき、海底の藻や岩に一発で根掛かりしてしまいます。


3. イカを驚かせない!ヤエンの推進速度をコントロールする「海面角度の黄金律」

ヤエンが水面下に入ったら、アオリイカの元へと前進(滑走)させていきます。
ここで最も重要なのが、**「イカを驚かせない傾斜角度」**を作ることです。

早くイカに届けたいからと竿を高く掲げ、角度を急にしすぎると、ヤエンが水中を猛スピードで滑走してしまいます。その結果、イカの喉元にヤエンが「ガツン!」と激しく衝突したり、恐ろしい速度で迫り来る鉄の塊を見たアオリイカが、驚いてアジを放してしまいます。

釣り場の足場の高さにもよりますが、私の経験から**イカに警戒させにくい滑走角度**がこちらです。

使用するヤエンの種類 理想的な海面傾斜角 海中での滑走イメージ
普通のヤエン(ローラー無) 20度 〜 30度 適度な自重でゆっくりとアジに向かって降りていく角度。
ローラー付きヤエン 10度前後で十分! 滑落性能が非常に高いため、かなりの緩斜面でもスルスルと滑らかに進みます。
値段が張るが、低角度でもスルスル進むローラー付ヤエン(シマノ)

これまでの寄せの操作を思い出し、現在の「ラインの角度」と「海中のヤエンが今どれくらいの速さで進んでいるか」を頭の中で鮮明にイメージしながら、ゆっくり、確実にイカの下側へとヤエンを送り込んであげましょう。


4. 本当に届いた?ヤエン到達の合図を見極める「穂先のたるみ」

「水中が見えない夜釣りや深場で、ヤエンがイカに届いた瞬間をどうやって見極めるの?」
これこそがヤエン釣り最大の疑問です。ヤエンストッパーを使用している場合、**確実に見抜く技**があります。それが、ラインを少しだけ緩めてみる方法です。

到達・未到達を一発で見分ける穂先のシグナル

◎ 【到達】穂先が「真っ直ぐ」のまま

しっかり張ったラインをそっと少しだけ緩めたとき、竿の穂先が湾曲せず、真っ直ぐのままになる。これが到達の合図です。
ヤエンがアジの尻尾(ヤエンストッパー)の位置まで完全に到達してそれ以上進まなくなると、ヤエンの自重(重み)がラインからアオリイカ(アジ)側へと完全に預けられます。そのため、糸を緩めても穂先にヤエンの重さが乗らず、穂先がお辞儀しないのです。ヤエンが到達している合図です!

⚠️ 【まだ途中】穂先が「グッ」と湾曲する

ラインを緩めたとき、穂先がヤエンの自重を受けて、下に「グニュッ」と少しお辞儀するように湾曲してしまう。これはまだヤエンがラインの途中にある証拠です。
未到達だと分かったら、前項で解説した「ゆっくりと竿を後方へ引いて寄せる操作」を優しく繰り返し、アオリイカをこちらに引き寄せながら、海中のヤエンも進めて、相対的にイカの元へと押し進めて行きます。

▲ヤエンがイカに到達。ラインを緩めてもヤエンの重さがティップに乗らない(お辞儀しない)

イカの拒絶反応(逆噴射)も重要なシグナル

ヤエンがイカの目の前(残り50cm〜1m)まで肉薄すると、イカはヤエンが見え、嫌がって**「じわじわと後退」したり「ギューンッ」とジェット噴射**を見せます。これは、ヤエンがイカに肉薄したことを知らせるものです。

イカが走ったときは、無理にラインを引っ張らず、リールのレバーやスプールを指から離してラインを開放してあげましょう。ここで意地になって糸を張ると、違和感でアジを放されてすべてが水の泡になります。この絶妙ないなしと駆け引きの経験を何度も積むことこそが、ヤエン上達への近道です。


5. 「昼のヤエン」と「夜のヤエン」でアプローチを変える

最後に、釣果をもう一歩伸ばすための重要な環境知識をお伝えします。アオリイカは、**太陽の出ている「日中(昼)」と、暗闇の「夜間」では警戒心のレベルが驚くほど違います。**

  • 昼のヤエン(警戒心:高)
    視覚が非常に発達している生き物のため、昼間は落ちてくるヤエンの姿がイカから丸見えになっています。そのため、少しでも角度が急だったりヤエンの進入速度が早いと、一瞬でアジを放されます。昼間は**「より低角度で、ゆっくりとヤエンを送り込む丁寧さ」**が求められます。(中にはどうやってもアジを放す警戒心の高い個体がいるので、すべての個体を獲るのは不可能ですが。。。)
  • 夜のヤエン(警戒心:薄い/高活性)
    夜間がイカの主戦場であり、捕食の活性が高い状態です。夜間でヤエンが見えにくい(危険な物であるとわからない!?)せいなのか、ヤエンが近づいてもアジを離さずホールドし続けてくれる個体がほとんどです。

この「昼夜のイカの警戒心の差」を頭の片隅に置いておきましょう。
さあ、穂先のたるませテストで「真っ直ぐ(到達)」が確認でき、イカの調教も完璧。舞台は整いました。次のステップはいよいよ、「合わせ」です!