ヤエン釣りにおいて、アオリイカを乗せられるかどうかは「エサの活きの良さ」と「状況に応じたエサの使い分け」で8割が決まると言っても過言ではありません。

いくら高級なタックルを使っても、エサであるアジが弱って泳がなかったり、すぐに死んでしまってはアオリイカのスイッチは入りません。

逆に、エサの管理と確保さえマスターすれば、初心者でも驚くほど簡単にアタリが出るのがヤエン釣りです。

今回は、私が長年やり込んできた経験から「アジを弱らせない最強の生かし方(自作クーラーボックス)」や、冬から春の生きアジが手に入らない時期を打破する「特製・死にアジの仕込み方」まで解説します!


1. ヤエン釣りのエサは「生きアジ(ゼンゴ)」が最強である理由

私はヤエン釣りのエサとして、一貫して生きたアジ(「アジゴ」と呼びます)を使用しています。

ヤエン釣りのメインベイトとなる活きの良いアジゴ(アジの子)。

もちろん、死んだアジでもアオリイカはアタってきますが、**「生きアジ」と「死にアジ」ではアタリの数が圧倒的に違います。
**イカの視覚と闘争心を刺激するには、元気に泳ぎ回る生きアジが一番です。

他のベイト(外道)は身代わりに使える?

釣り場で生きアジが切れた際、サビキなどで比較的簡単に釣れるベラ、ネンブツダイ、スズメダイなどを代わりに使うことも可能です。しかし、これらの魚には明確なデメリットがあります。

  • 根に潜りやすい: ベラなどはすぐにシモリ(根)の隙間に隠れようとするため、根掛かりが多発します。
  • 身が柔らかい: アジに比べてゼイゴ(硬い鱗)がなく身が弱いため、キャスト時やイカが触った際に身切れして外れやすいです。

そのため、トラブルなく効率よく釣るためにも、やはり「生きアジ」を用意するのがベストな選択です。


2. 生きアジ(ゼンゴ)を入手する2つのルート

ヤエン用の生きアジを確保する方法は、大きく分けて2つあります。

  1. 現地調達: ヤエン釣りを始める前に、釣り場でサビキ仕掛けを使って自力で釣る。
  2. ショップ購入: 生きアジ販売所(ゼンゴ販売所)を利用して事前に購入する。
生きアジの販売所
▲大分県にあるアジゴの販売所。

季節に応じた使い分けがキモ

新子(子イカ)が多い秋のシーズンであれば、堤防からサビキで簡単にアジが釣れるため現地調達で十分まかなえます。
しかし、ヤエンのベストシーズンである真冬〜春になると、水温低下に伴って堤防周りからアジの姿が消え、サビキで釣るのが非常に困難になります。

そこで私の場合、冬場はあらかじめ「アジゴ販売所」に立ち寄り、10〜20匹程度を購入してから現場に向かいます。


3. アジを弱らせない「生かしバッカン」の自作と管理のコツ

購入した、あるいは釣った生きアジを新鮮なままキープするには、水温管理と酸素供給ができる「生かしバッカン(アジカン)」が必須です。

① 市販バケツから「自作クーラーボックス」へ辿り着いた理由

以前はホームセンター等で売られている「フタ付きの角バケツ」を加工し、エアーポンプを取り付けて使っていました。

以前DIYして使用していた市販の角バケツ。水温変化に弱いデメリットが。

バケツの軽さは魅力ですが、プラスチックの薄い壁一枚なので**外気温の影響をダイレクトに受け、すぐに水温が激変してしまう**という致命的な弱点がありました。

特に冬の夜間や春先の直射日光下では、水温低下・上昇によってアジがすぐに弱ってしまいます。

そこで行き着いたのが、**「クーラーボックスを改造した自作アジ生かしバッカン」**です。

現在のメイン機。断熱性に優れたクーラーボックスを加工した自作アジ生かし。

クーラーボックスは断熱材が入っているため外気温をシャットアウトし、水温を一定にキープできます。これに変えてから、アジが弱ることなく、生存率が格段にアップしました。

② 【重要】真っ暗な空間には「光」を入れよう!

▲クーラーボックス内にはケミホタルや水中ライトを入れよう

クーラーボックスをアジ生かしに使う際、また夜釣りの最中に絶対にやってほしい重要なライフハックがあります。

それは、**ボックスの中に「ケミホタル」や「水中ライト」を必ず1つ投入しておくこと**です。

フタを閉め切ったクーラーボックスの中や夜間のバッカン内は、アジにとって「完全な真っ暗闇」になります。**アジは視界がゼロになるとパニックを起こし、壁面に激突して自滅(暴れて弱る)してしまう習性があるのです。**

ほんのわずかでも水中に光を足してあげるだけで、アジが落ち着いて一定の方向を向いて泳ぐようになり長持ちします。

③ 活きの良さを保つ「水量」の黄金律

アジを健康に保つための水量の目安は、一般的に**「アジ1匹につき、海水1リットル」**と言われています。
もちろん水量は多ければ多いほど酸素量も安定し、アンモニアなどの有害物質も薄まりますが、水は1リットル=1kg。欲張って入れすぎると持ち運び(磯歩きなど)が地獄になります。

移動の距離や時間、その日の外気温を考慮して、調整すると良いです。

基本は1リットル当たり1匹ですが、販売所からの距離が近い釣り場なら1リットル当たり2匹位までは経験上問題ないです。ただ、釣り場に着いたら、バッカンに海水を足してあげましょう。

🎣 現場に持って行くのが重たい!きつい!私のリカバリー術
アジの販売所でアジを買った後、釣り場の駐車場までの移動は車ですね。しかし、駐車場から実際に釣りをする場所(堤防、地磯)までの移動が重くて大変ですよね。そんな時には、クーラーボックスにたっぷり入った海水を駐車場で抜いて(迷惑にならない場所で)、水量を少なくして持ち運ぶのがオススメです。これ、結構気づいていない釣り人が多いです。駐車場から釣り場までの移動時間は長くても10分くらいでしょうから、「水を抜いて移動し、釣り場に着いたら、すぐに海水を補充する」のがアジも弱らない、釣り人も疲れない裏技です(笑)

4. 生きアジがない時の救世主!「死にアジ」でも十分釣れる

春先(3月〜5月)のデカイカシーズンになると、水温が上がっても今度は産卵絡みで生きアジの流通や確保が全国的に困難になるタイミングがあります。そんな時に真価を発揮するのが**「死にアジ」**を使ったヤエン釣りです。

死にアジ
スーパーでパック100円〜200円で手に入るアジ。これが春のデカイカキラーになります。

「死んだアジなんかで本当に釣れるの?」と思う初心者の方も多いですが、実は死にアジには、生きアジを凌駕する強力なメリットが隠されています。

死にアジならではの3つの強み

  • 圧倒的な「遠投」が可能: 生きアジの場合、弱らせないように「ふわっ」と優しくキャストする必要がありますが、死にアジならタラシを長めにとって、思いっきりフルキャストが可能です。はるか沖のブレイクラインに潜む、スレていないアオリイカの元へエサを届けることができます。
  • 抜群の長期保存性: 生かすための重い機材が必要なく、クーラーボックスの片隅に凍らせて忍ばせておくだけで、いつでも気が向いた時にヤエン釣りできます。
  • ボトム(底)のデカイカに直撃: 死にアジは当然、自然と海底に沈みます。春の大型アオリイカは底付近に定位していることが多いため、ボトムをじっくり、かつ効率よく攻めるのに非常に適しています。

釣果に差が出る!「塩漬け死にアジ」の作り方

スーパーで安売りされているアジのパックを買ってきたら、そのまま使うのではなく、ひと手間加えることでとても使いやすくなります。

  1. 大量の塩で締める: 買ってきたアジをバットなどに並べ、大量の塩で包みます。
  2. 水分を抜く: そのまま数時間ほど放置し、浸透圧によってアジの余分な水分をしっかりと抜きます。これによって身がカチッと締まり、フルキャストしても頭や目が取れない「針持ち最強の死にアジ」が完成。
  3. 冷凍保存: 水分を拭き取ったあと、使いやすい数(5匹ずつなど)に小分けしてジップロックに入れ、冷凍庫で保存します。

📜 知る人ぞ知るヤエンの歴史トリビア
実は、日本の伝統釣法であるヤエン釣りは、もともと「死にアジ」を利用することから発祥した釣りだと言われています。生きたアジをバッカンで生かして贅沢に使い出したのは、エアーポンプが発達した近年のことに過ぎません。原点にして究極の「死にアジでヤエン」、その実力は歴史が証明しています。

生きアジの確保が難しい真冬や春〜夏場、また堤防から遠い深場のカケアガリに潜むモンスターアオリイカを集中的に狙いたい場合、この死にアジは時に生きアジを超えるエサとなります。ぜひ試してみてください!