「本合わせ」又は「追い合わせ」が決まり、アオリイカのズッシリとした重量感を味わいながら手前へ寄せてくる時間は、ヤエン釣り師にとって至福のひとときです。

しかし、ここで絶対に油断してはいけません。
実は、ヤエン釣りにおいても**バラシが多いのが最後の取り込み**なのです。

「あともう少しでギャフが届くというところでフッと軽くなった……」
「イカの姿が見えて焦ってしまい、取り込みに失敗した……」

そんな悔しい経験をした方は少なくないはずです。ヤエンはその独特な形状から、一般的なルアーフィッシングやウキ釣りとは異なる**「取り込み時のルール」**があります。

今回は、確実に仕留めるために、私が釣る場場で徹底している「バラシをゼロにするための3つの鉄則」を、ヤエンの構造的弱点やイカの習性をもとに解説します!


鉄則1. カエシなしヤエンの宿命!「ラインテンション」を1秒も緩めない

合わせを入れた後は、竿のしなりを最大限に利用して、**ラインのテンション(張り)を常に一定以上にかけ続けること**が最優先事項です。

足元に寄せるほど緊張感が高まる瞬間。竿の弾力を使って引きをいなします。

なぜこれほどテンションにシビアになる必要があるのかというと、**ヤエンの掛け針には「カエシ(返し)」が付いていないから**です。

仮にカエシ付きのヤエンを使っていたとしても、アオリイカは魚と違って全身が柔らかい「軟体生物」です。一度ガッチリ刺さった針であっても、ラインがフッと緩めば、イカ自身の身の柔らかさによって簡単に針穴が広がり、スルリと抜けてしまうことがあります。

🌊 途中の激しい逆噴射(ジェット噴射)のいなし方
イカを寄せる途中で、何度も強烈なジェット噴射をして抵抗してきます。この時は力任せにゴリ巻きする必要はありません。
竿のしなりで引きを吸収しつつ、あらかじめ調整しておいたリールのドラグから「ジッー、ジッー」とラインを出させて走らせます。イカの走りが止まったら、またゆっくりとリールを巻く。この丁寧なやり取りがカエシなし針でのキャッチ率を100%に近づけます。


鉄則2. 【超重要の一次情報】竿を立てすぎるな!針が抜ける「くの字」の罠

取り込み時に初心者が最もやってしまいがちなミスが、「イカの姿を見たい」「早く浮かせたい」という焦りから、**竿(ロッド)を天高く垂直にピンと立ててしまうこと**です。これはバラシを誘発する極めて危険な状態です。理由は3つあります。

① 重力による「身切れ」の危険

アオリイカの体や足が水面から上(空中)に出てしまうと、イカの自重が、**空中に上がった瞬間にすべて針穴にダイレクトにかかる**ため、一発で身が引き裂かれて身切れバラシに繋がります。

② 下に潜られて「根掛かり」する罠

竿を無理に立てて寄せているとき、海中でのアオリイカは水面に対してほぼ垂直に近い無理な姿勢に固定されています。この体勢のときにイカが抵抗して下を向いて噴射すると、**一気に真下のボトム(海底)へ向かって突き刺さるように潜る**ため、足元の藻やシモリ、堤防の基礎(捨て石)に突っ込まれて寝掛りを招きます。

③ 【最重要】ヤエンの構造上、外れる力が働く「くの字」の罠

💡 知っておくべき物理的メカニズム
アオリイカが浮いた状態で竿を高く立ててしまうと、アオリイカとヤエンの角度が「くの字」型に折れ曲がってしまいます。
一直線の時はイカの肉を深く抉り込むように力が働いていたヤエンの針先ですが、「くの字」に変角した瞬間、逆に針が『外れる方向』へと力が逃げてしまう形状構造になっているのです。これこそ、足元で急にすっぽ抜ける最大の原因と考えられます。

🎯 プロが実践するロッドポジションの切り替え

これを防ぐため、私の場合はイカが遠くにいて寄せる段階では、障害物をかわすために**「竿を立て気味」**にして中層〜表層付近へとイカを誘導します。
そして、イカが足元の水面近くまで無事に浮いてきたら、そこからは逆に**「竿を横〜寝かせ気味」**へとシフトします。ラインの角度をできるだけ水平に保つことで、ヤエンとラインを一直線に維持し、針が抜ける力をシャットアウトするのです。


鉄則3. 最後の最後で泣かない!「ランディングゾーン」の事前選定

どれだけ完璧にイカを足元まで寄せてきても、そこに激しい藻が生い茂っていたり、漁船の係留ロープが垂れ下がっていれば、最後の最後でヤエンやイカが引っかかって水の泡になります。足元に寄せてから「あそこはロープがあるから取り込めない、どうしよう!」と右往左往しても手遅れです。

📜 私が釣行時すぐに行う防衛策
まだ周囲が明るい時間帯(日中や夕マズメ前)に、海中や足元のどこに藻が生えていて、どこにロープなどの障害物があるかを肉眼で確認しておきます。
そして、「もしイカが掛かったら、あそこにある一番足場が良くて障害物のないスペース(ランディングゾーン)まで引っ張っていって取り込もう」と、あらかじめ取り込み場所を決めておきます。

夜釣りの最中であっても、事前に決めた安全な立ち位置へ自分が先回りし、そこへアオリイカを誘導してくれば、暗闇でも一切焦ることなく安全・確実にタモ入れやギャフ打ちを行うことができます。

また、基本的なことですが、タモ入れを行う場合は必ず胴体側からタモに入るようにしましょう。
足側から入れようとすると、ジェット噴射で逃げられたり、最悪の場合、ヤエンとタモ網が絡んで、アオリイカを取り逃すことになります。


まとめ:焦らず、アオリイカを取り込もう

ギャフは写真のように胴体部に打ちましょう。

ヤエン釣りの取り込みは、力と力の勝負ではなく**「イカに悟らせない繊細な誘導」**です。
カエシのないヤエンを信頼し、常にテンションを掛けつつ、足元では竿を寝かせてイカの暴発を防ぐ。

この3つの鉄則を守るだけで、あなたのヤエン釣りの成功率は間違いなく激変します。

さあ、ギャフやタモの準備はいいですか?水面で大きなエンペラをゆらめかせる大物アオリイカを、最後まで冷静に、確実に仕留めましょう!