これまで解説してきたスタンダードな3支点式ヤエンは、一瞬ラインを緩めてストッパーに衝突させることで針を跳ね上げさせるのが基本でした。

しかし、これには繊細なラインワークが必要で、「弛ませすぎて根掛かりした」「タイミングが合わずにすっぽ抜けた」という人も少なくありません。

そんなヤエンのバラシ病を一発で解決し、私のヤエン釣りを劇的に変えてくれたのが**「シマノ製跳ね上がり式ヤエン(ローラーヤエン)」**です。

改造の跳ね上がり式ローラーヤエンで仕留めたアオリイカ。

私はシマノ製の跳ね上がり機構の素晴らしさに気づき、それをベースにラインローラーを搭載したヤエンを改良するようになってから、**ヤエン投入後の取り込み率が「7割以上」へと跳ね上がりました。**

今回は、スタンダード型とは**「全く真逆」になる合わせのメカニズム**や、到達を察知するアオリイカのシグナルなど、打率7割~8割の跳ね上がり式ヤエン釣法を解説します!


1. 【投入前の条件】「調教」と「中層浮かせ」を徹底する

跳ね上がり式ヤエンのポテンシャルを引き出すためにも、投入前のルーティンは妥協なく行います。おさらいになりますが、以下の2点は必須です。

  • 中層へ浮かせているか: 海底の藻やシモリに仕掛けやイカが絡んでいない状態を必ず作ります。
  • イカの「調教」が完了しているか: 竿でじわじわと引いた際に、イカが激しく逆噴射抵抗をせず、素直にこちらへ追従して寄ってくる状態(ホールドの安心感)になるまで、2〜3回丁寧に寄せの操作を繰り返しておきます。

この調教をサボると、ヤエンが滑り降りてイカに到達する直前で、気配を察知したイカにアジを放されて逃げられるリスクが急増します。


2. 【ローラーヤエンの盲点】ヤエンの速度と「ライン角度30度以下」

跳ね上がり式ヤエンの多くには、滑落性を高めるために「ラインローラー」が搭載されています。ここで1つ、初心者が勘違いしやすい盲点があります。

ローラー付きヤエンは空中では自重で凄まじいスピードで滑り落ちますが、**いざ海中(水中)に入ると、水の抵抗を受けるため、思っているほど早くは進んでいません。**(風呂の残り湯で実験済)

アジを脅かさないための傾斜角コントロール

「じゃあ、竿を高く掲げてラインの角度を鋭角にすれば早く落ちるのでは?」と考えがちですが、それはバラシの罠。海中でもあまりに急角度になると、ヤエンは早いスピード落ちていきます。その角度調整が大切です。

💡 私の現場経験から導き出したデータ
ヤエンを送り込む際のラインの角度は「30度以下」の緩やかな傾斜にするのがベストです。この角度であれば、イカがヤエンの接近に驚いてエサを離す確率が格段に低くなります。
もし足場が高く、どうしても角度が付きすぎてしまう場合は、ラインを張りっぱなしにせず、「張る・緩める」を優しく繰り返しながら、ヤエンの落下速度にブレーキをかけるようにゆっくりコントロールして送り届けてあげましょう。

ラインを張り気味にし、適切な角度を維持しながらヤエンをイカの元へ滑らせていきます。

3. 【水中透視】あと50cm!イカが魅せる「後ずさり」の合図

「水中が見えないのに、いつヤエンが届いたかどうやって判断するの?」
これこそがヤエン釣りで最も難しいとされる部分ですが、イカ自らが教えてくれます。

ヤエンがラインを滑り、アオリイカの目の前(およそ残り50cmの距離)まで接近すると、**ほとんどのイカはヤエンの物体としての気配を嫌がり、海中で「じわじわと後退」したり、「ギュン」と逆噴射ダッシュを行います。これがあと50cmで到達するシグナルです。

② イカの直前まで迫った状態。このときイカは嫌がって後ずさりをします。

※「本当にそんな動きをしてるの?」と思うかもしれませんが、私は日中、足元までイカを寄せてきた後にヤエンを投入し、アオリイカがどう行動するかを実験したことがあります。ヤエンがイカに到達する直前(ヤエンとアオリイカの距離が50cm以下)、ほとんどの個体が逆噴射をして明確に後ずさりします。

後ずさりされた直後のリカバリーワーク

イカが驚いて逆噴射ダッシュをしたら、絶対に竿を止めて引っ張り合ってはいけません。抵抗に合わせて素直にラインを送り出して走らせてあげます。
そして、**イカが止まったら、その「後ずさりして離れた距離」+「念のための猶予として1メートル程」余分にこちらへゆっくりと引き寄せる(寄せる)**操作を行います。これで海中のヤエンは確実にアジの尻尾(イカの喉元)へ到達します。


4. スタンダード型とは真逆!ラインを緩めない「本合わせ」

さあ、いよいよ合わせです。ここが3支点式ヤエンと180度理論が変わる重要ポイントです。

跳ね上がり式ヤエンの場合、**「ラインを張った状態を維持し、緩めることなく」竿をグーッと大きく後方へ倒して合わせを入れます。**

なぜ緩めてはいけないのでしょうか?図解でその理由を解説します。

⚠️ 失敗例:合わせの前にラインを緩めてしまうと……

【NG行為】ここで糸を弛ませると、ヤエンが自重で後退し、針がイカから離れてしまいます。

跳ね上がり式ヤエンは、ラインがパンと張っているときに、ヤエンの跳ね上がりアーム(機構)がアジの尻尾に押し付けられ、その押し出す力によって針先が跳ね上がり、イカのボディ(頭部)に最も肉薄・接触する構造になっています。

それなのに、合わせの直前でラインを緩めてしまうと、**せっかく絶妙な位置にいたヤエンがラインを逆滑りして後退してしまい、跳ね上がりが解除されてすっぽ抜けてしまう**のです。

🎯 正しいフッキングルーティン

リールのドラグを「思い切り合わせても身切れせず、かつ針が貫通する適度な硬さ」に瞬時にセットしたら、ラインテンションを掛けたまま**「グーッ」と1秒ほど溜め(間)を作ってイカの重みを感じ、そこから竿を大きく煽って本合わせ**を入れます。ラインをずっと張り続ける緊迫感が、この釣法のキモです。

※もし操作の途中で「あ、ラインが緩んじゃったかも!」と思った時は、焦ってそのまま合わせず、もう一度ゆっくりとラインを優しく張り直してヤエンをアジに押し当ててから、改めて合わせを入れれば問題なくリカバリーできます。


5. 頭にガッツリ掛かれば「バラシ率ゼロ」の無敵ゾーンへ

私の推奨する「跳ね上がり式ローラーヤエン」による本合わせが決まると、アオリイカのどの部分に針が噛み込むか。その答えがこちら▼です。

アオリイカの「頭部」に針が触れている状態で合わせを入れる。

ゲソ(足)の先やエンペラの薄皮一枚ではなく、**イカの「頭(外套膜の付け根付近)」の最も硬く強靭な場所へ、下から突き上げるように針が食い込みます。**

この部位にがっちりフッキングしてしまえば、ここからイカがどれだけ狂ったように大暴れして強烈なジェット噴射を連発しようとも、肉を引き裂いてフックが抜けることはまずありません。
事実上、これで**勝負あり(キャッチ確定)**です。

まとめ:跳ね上がりヤエンで打率7割の世界へ!

最後に、跳ね上がり式ヤエン釣法で打率を劇的に上げるためのコアなポイントを4行でまとめます。

  1. ヤエンを投入する前に、イカをしっかり「中層」に浮かせること。
  2. 寄せの段階で逆噴射しなくなるまで、イカを「調教」すること。
  3. ヤエンが迫って、イカが後ずさりしたシグナルを感知したら、後ずさりした分+1m寄せること。
  4. 3支点型とは違い、ラインを弛ませず、張ったまま「グーッ」と後方に合わせること。

ヤエンを落としても落としてもすっぽ抜けて頭を抱えていた日々とは、今日でサヨナラです。

この跳ね上がり釣法を武器に、打率7割を超えるのヤエンフィッシングをぜひ体感してください!

ガッチリと本合わせが決まり、アオリイカが完全にこちらの手中に収まったら、残すは最終関門の「取り込み(ランディング)」です。

次回、大物を絶対に逃さないギャフ&タモ入れのコツを解説します!